アトピーを患っていると一度は使うことになるのがステロイド。
皮膚科学会のガイドラインでは「アトピーにはステロイド治療が適している」という表記もあることから多くの医療機関でステロイドが処方されています。


何の知識もないまま、アトピーの症状が出たとしたら、あなたはどのような対応をとるでしょうか?
まず初めに思いつくのが皮膚科に行くことを考えるでしょう。幼い頃は考えることもできないので親に勝手に連れて行かれたことと思います。
この選択は間違いではありません。ただしっかり薬の説明、使い方をレクチャーしてくれる病院を探すこと。これが絶対条件となります。
大抵、どの病院に行っても処方されるであろうステロイド外用薬。
患部に塗ってくださいと言われるだけで、あとは掃除や体を清潔にしろだの根本的な治療は全く説明しないところもあります。むしろそんな皮膚科であふれかえっているくらい。
まず根本的な治療法を知っている医者が日本には少ない。だからステロイドを処方するしか術がないのです。
きちんと薬の説明を受けずこの病気が治ると思いますか?
確かにステロイドはアトピーの炎症に直接作用するので効果は高いです。ただ間違った使い方をすれば地獄を見ることになるというのは覚えておきましょう。
というわけで、今回はステロイドのランクと正しい使い方を説明していきます。
・・・と、その前にそもそもステロイドとは何なのかを説明します。
そもそもステロイドとは何なのか?
ステロイドとは副腎皮質ホルモンのことで消炎作用や免疫抑制の効果があります。
そしてそれを人工的に合成して作られたのがステロイド外用剤などの薬です。
それを使用することで皮膚に浸透し、痒みと炎症を短期間で驚くくらいに取り除いてくれます。ただステロイドはあくまで対処療法に使用するためのものであって根本的治療にはなりません。
なので長期的の使用は勧められていないのです。(と言いつつ、長期的にステロイドを処方する病院がほとんどですが・・)
まあそれはおいといて、医者は僕たちの症状を見てステロイドの強さを調節します。
ステロイドの作用はその種類によって強弱がありアトピーの症状を見てそのランクが使い分けられます。
当然症状が軽い場合は弱いランクのステロイド、重い場合は強いランクのステロイドが処方されます。
この症状は僕たちでは判断が難しいのでステロイドの強さを知ることでいま自分が置かれている症状の重さの基準を知ることができます。
ではステロイドのランクを見て、現在使用しているステロイドのランクを確かめてみましょう。
ステロイドのランク
薬効の強さは5種類あります。
- strongest(最も強い)
- verystrong(非常に強い)
- strong(強い)
- medium(普通)
- weak(弱い)
ではそれぞれどのような薬名があるか記述していきます。
strongest(最も強い)
ジフラール、ダイアコート、デルモベート、ハロベート
verystrong(非常に強い)
アンテベート、エロダーム、シマロン、テクスメテン、トップコート、トプシム ネリゾナ、パンデル、ビスダーム、フルメタ、マイザー、リンデロンDP
strong(強い)
フルコート、F プロデニデゾン、プロパデルム、ベトネベート、N ボアラ、ミコゲル、メサデルム、リドメックス、リンデロンV、VG
medium(普通)
アリストコート、アルメタ、キンダベート、グリメサゾン、ケナログ、レダコート、ロコイド
weak(弱い)
エキザルベ、オイラックスH、コルテス、テラコートリル、プレドニン
大体はこのような薬品名のものが処方されています。
上記と照らし合わせると自分に置かれている症状の度合いを知ることができたと思います。現在使用しているステロイドのランクを見てそのランクに見合った使い方をしなければなりません。
また上記は薬名だけでステロイドの詳しい成分は記載していません。
記載すると紛らわしくなりますからね。
カサカサ系やジクジク系など症状にも種類があるので同じランクのものでも、それに合わせたものを使用しているという程度だけ知っていれば問題ないでしょう。
ただ抗生物質が入ったものもあるのでそれは医者に確認したほうが良いでしょう。
抗生物質は感染症の可能性があるときに処方されますが普段から使用しているといざという時にその効果が発揮できません。
現在自分に置かれている症状の重さで治療にかかる時間もそれだけ多くなります。なので治らないからといって途中で治療を諦めるといったことだけはしないでいただきたいです。
そしてステロイドだけではなく、食事、運動、睡眠などの根本治療を並行することがアトピーを治す秘訣となります。例えステロイドを正しく使えたとしてもそれだけではアトピーが治るわけではありません。
さてそれが分かったところで本題です。
ステロイドというものはランクまたは体の部位によって吸収率が異なりますので注意が必要です。そのことを知ることがステロイドの正しい使い方につながります。
では実際にステロイドの正しい使い方を説明していきます。
ステロイドの正しい使い方
ステロイドの薬効の強さはその成分がどれだけ吸収されるかに比例します。
つまりデルモベートなどの一番強いランクのステロイドはとても吸収率がよく、弱いランクのものは吸収率が低いということです。
肌に浸透すればするほど薬効が強いと覚えておけばいいです。そして体の部位によって皮膚の厚みと毛穴の数が異なります。皮膚が薄く毛穴が多い部位ほど吸収率が高いのでその部位によってステロイドのランクも必然的に変えなければなりません。
よってまずは体の部位の吸収率を知る必要があります。
それを以下に記述します。
頭皮・・3、5倍 顔・・13倍
首・・6倍 わき・・3、6倍
お腹・・2倍 背中・・1、7倍
手足・・1±0、5倍 陰部・・42倍
腕(内側)を基準にした吸収率
*腕(内側)を1としてその対象に反映する倍数を表します。
上記を見てわかるとおり顔や首、わきなどは皮膚が薄く毛穴が多いので吸収率が高くなっています。
この部位による吸収率に合わせてステロイドの強さを調節する必要があります。
部位に対するランクの目安は以下の通り↓
顔、首=weak~medium
頭皮、わき=medium~strong
手足、背中=strong~verystrong
症状によって処方されるステロイドも異なります。上記はあくまで目安としてとらえ、吸収率の高い部位には強いランクのものを避けるようにしていただければ問題はないでしょう。
余談ですが吸収率の一番高い部位が・・・い○ぶっていうね。なんと顔の3倍以上の吸収率を誇ります。


症状が全身に出ていて1種類のステロイドだけしか処方されていない場合は直ちに医者に種類を増やすように申請するか病院を変えましょう。
それは「僕たちの体を理解していない、またはお金をむしり取ろうという考えが潜んでいる」という証拠です。
次にステロイドの使用頻度と期間、使用のタイミングを説明します。
ステロイドの使用頻度
ステロイドの使用は1日2回、強いステロイドに関しては1回で十分です。症状が重い時は少し使用頻度を増やしてもいいです。
かゆみがあまりない場合は弱いステロイドでも1日1回で十分でしょう。
ステロイドの使用期間
強いステロイドほど肌に依存するので使用期間は長くて2週間ほどが限度です。
それを何ヶ月も使用している人はアトピーが治らないステロイド依存症に陥っています。本来であればステロイドの使用をやめてもアトピーの症状が表れないようになっていなければなりません。
それをやめた途端、症状が表れるような場合は有効な根本治療ができていなかったということになります。
ステロイドを使用している間、症状が治まっているからといって怠けた結果、返って大きなリバウンドを招く可能性もあるのです。
使用のタイミング
ステロイドの効果を有効にするためにこの使用のタイミングを考える必要があります。それを有効にしたいなら吸収率をよくしてあげれば良いのです。
一番吸収率がよくなるのはお風呂上がりです。
毛穴が開いていて皮脂が洗い流されているので吸収率が良いんですよね。
逆に皮脂のたまっている状態でステロイドを使用すると吸収率は下がり、酸化しやすいのでかえって逆効果となります。
ステロイドが酸化するとどうなるの?
だからこそ一番吸収率の高いお風呂上がりの時が適しており回数も1回でいいというわけです。
長期の使用は悪影響を与えますが、短期の使用の場合は副作用も少ないので吸収率をよくさせたほうが効果は高いです。短期の使用だと人間本来の副腎皮質ホルモンの分泌機能にそれほど影響を与えません。
いかに短期間で症状を抑え根本療法ができているかが重要となります。
ただ僕みたいに何も知らずステロイドを使い続けていたという方も少なくはないはず。そんな時はどうすればいいか?過去記事で解決策を示していますのでそちらを参考にしてください↓
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アトピーでステロイドが効かないってときの対処法
ステロイドを長年使っているとだんだんと効き目がなくなり、症状が悪化したと感じる方も多いのではないでしょうか? 今回はその仕組みと、そういった状況に陥った際の対策法をお伝えし ...
言っておきますが、安易に脱ステをしてはいけませんよ。地獄をみることになりますので。
まとめ
以上が正しいステロイドの使い方です。大切なのでもう一度言いますがそれ単体でアトピーは治せません。
それは対処療法であり、根本療法ではないからです。
逆に根本療法をする上で補助的な道具として使用するのは有効な手段になりうるのです。しっかり正しい知識を持って正しい使い方を心がけましょう。