以下の内容はまだ解明されていない部分が多く間違っている情報が含まれているかもしれないということを先に言っておきます。
間違いにお気づきの場合はコメントにてご指摘いただければと思います。


皮膚にも免疫細胞が存在するって本当?
今やアトピーは免疫疾患であることで発症する病気だということは当たり前のようになってきています。
だから免疫の7割を占める胃腸の機能を改善させることがアトピーの治療になる。
そう思っていました。しかしアトピー性皮膚炎は皮膚の表面上で起こる病気です。
今まで胃腸を改善させればアトピーは治ると信じてきた管理人ですが、もしかしたら皮膚の付近の免疫細胞を活性化すれば胃腸の働きを改善するよりも効果が如実になるのではないかと、ふと気になりました。
*実際過去に胃腸の働きを改善させればアトピーは治るという記事を書いております↓
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胃腸の働きの改善がアトピーを治すので絶対に覚えておきましょう
いくつかの記事を見たら分かると思いますが、当ブログではアトピーの根本治療を「食事、運動、睡眠」と定めています。 本稿では、なぜこの3つが治療の柱になるのか?なぜ胃腸の働きが ...
以上の経緯から皮膚付近で活動する免疫細胞は無いものかと調べてみました。
うすうすお気づきかと思いますが調べて見つけたもの、それがランゲルハンス細胞という細胞です。
ランゲルハンス細胞とは表皮細胞に位置する樹状細胞のことをいいます。表皮に異物が付着、侵入した際にこのランゲルハンス細胞がその異物を検知し生命を脅かすものなのかどうか判断します。
異物を敵だと判断した場合、B細胞にIGE抗体を作るように命令。
この働きにより実際に異物を駆除する細胞が肥満細胞といわれるもの。IGEは異物を敵か味方を判別するセンサーでありそれを敵だと検知した場合に肥満細胞から異物を駆除するための化学物質を放出します。
以上の工程が炎症となりアトピーの症状となるわけです。
このようにランゲルハンス細胞は炎症が発生するスタートラインとなる存在であり、皮膚の免疫に大きく関わっているものだと考えられます。
ランゲルハンス細胞はアトピーを悪化させるのか
アトピーと言うのは炎症そのものです。
体内に異物が侵入した際に免疫が過剰反応を起こすことを炎症といい、アトピーの症状として現れます。ということは表皮に存在するランゲルハンス細胞が過剰反応をおこしているのではないかと言う推測ができます。
つまりアトピーを悪化させているのではないかという推測ができるわけです。しかしアメリカの名門大学であるイエール大学がある論文を発表しており、その推測をいい意味で打ち破っています。
イエール大学の論文
以上の経緯からランゲルハンス細胞が欠如した状態になることで異物を敵、味方の判別ができなくなり過剰な免疫反応を示すのではないかと考えられます。
裏を返せば敵、味方をしっかり判別できるようになれば過剰な免疫反応を示すことなく適切な処理をすることができるということです。
ランゲルハンス細胞がアトピーを悪化させるのかと言う疑問に対し、その細胞が欠如していれば悪化する、正常であれば改善すると答えることができます。
ランゲルハンス細胞が活性化するとどうなるか
ランゲルハンス細胞が活性化すると免疫が正常に保たれアトピーは改善させることができると考えています。
では具体的にそれが活性化した状態とはどのような状態なのでしょうか?口頭では説明しにくいので以下の図を見ながら解説していきます。
引用:http://moriyama.com/node/tag/ランゲルハンス細胞
まずは皮膚の構造から。皮膚は表皮、真皮、皮下組織に分類され、皮膚のバリア機能においては表皮がその役割を担っています。
上の図を見て分かるとおり表皮にも種類があり角質層、顆粒層、有棘層、基底層で成り立っています。ランゲルハンス細胞は表皮のうちの有棘層に配置されています。
そして上の図はまさにランゲルハンス細胞が活性化された状態にあります。
従来その細胞は有棘層のみで働き免疫の活動をしていると考えられていました。例えばアレルゲンが存在したとしてそれが有棘層に侵入し、そこで初めて免疫が働くといったイメージです。
しかし実際はそうではなくその細胞が活性化された状況下では感知システムを角質層直下まで行き届かせることができます。
言い換えるとアレルゲンが角質層を突き破って侵入したとしてもそこで免疫が働くために最小限の被害で抑えられるということです。
ただしそれは活性化されている状態であることが条件。
アトピー患者はランゲルハンス細胞の機能が低いということが分かっており樹状突起を角質層直下までに伸ばすことができません。
さて、比較的、皮膚表面に存在するアレルゲンと内部まで侵入したアレルゲン。これを排除しようとする場合、どちらが大変でしょうか?
これは言うまでも無く後者のほうであり、それを排除するためにはそれ相応の炎症反応が必要だと考えられます。
アトピーの方はランゲルハンス細胞の機能が低下していることから仮にその機能を回復させることができれば過剰な免疫反応(炎症)を抑えることができるかもしれません。
ステロイドはランゲルハンス細胞を死滅させる
ステロイドとランゲルハンス細胞の関係性を統計にしたものがあります。
成人男性にストロングクラスのステロイドを一日に2回塗布。
それを数日間行いランゲルハンス細胞に変動はないかを調べるとステロイドを塗り始めてわずか5日でもとの半分までにその数が減ったということが判明しています。


もちろん個人差はありますがステロイドがランゲルハンス細胞を死滅させていることに間違いはないようです。
炎症を抑える上でもっとも効果を発揮するのがステロイドですがその一方で免疫細胞を死滅させては本末転倒です。それでも僕はステロイドを否定しません。
むしろ炎症がひどい場合はとても心強い存在だと思っていますが使い方を間違えるとそれは諸刃の剣。返ってデメリットでしかないものになってしまうので扱いには気をつけましょう。
最終的にアトピーを完治させたいのであればステロイドの離脱は必須であるとも思っています。
ランゲルハンス細胞を活性化させる方法
アトピー患者のほとんどの方がステロイドを使った経験があるでしょう。
アトピーの方でランゲルハンス細胞が少ないのはこれが原因だったのかもしれません。ではそれを活性化させるにはどうすればいいのでしょうか?
実は現代の科学ではその方法ははっきりと確立されていません。
そもそもランゲルハンス細胞自体に未知の領域があるためそれ自体の解明も必要になってきます。ただしあれこれ探してみるとランゲルハンス細胞の活性化にアルギニンという物質が関与しているみたいです。
2010年3月、アメリカの皮膚科学会にて小山秀男さんが発表された論文を参考。アルギニンといえば活力剤をイメージしますね。
アミノ酸の一種です。食品で言えば大豆や肉類に豊富に含まれている物質です。アルギニンは白血球の一種であるマクロファージ活性に有効で免疫力の向上を期待できる成分です。
ちなみにマクロファージを活性化させるとTh1の分化につながりアトピー患者のTh2優位な状態を改善させてくれます。ランゲルハンス細胞も免疫細胞ですから同じように活性化につながると考えられます。
以下の管理人のオススメにアルギニンを含むグッズをご紹介しています。
皮膚の常在勤のバランスを整え、バリア機能を強化を目的としたグッズです。悪化材料の一つに黄色ブドウ球菌が挙げられるのですがこれを使えばその繁殖が抑えられ炎症も防げるといった目的もあります。
今までの保湿剤は単に保湿成分を働か肌のバリア機能回復を狙うものばかりでしたが整菌スキンケアは皮膚の常在菌に着目されています。防腐剤など菌を死滅させる成分は入っていませんので効率よくバリア機能の回復が期待できるわけです。
解明されていないと言えば、アトピーの治療法自体が確立されていないのでこういった期待できるものは積極的に試してみる。
アトピーになった以上、この病気を治すのは自分自身なので治らないことよりも治ると思って行動したほうが良い結果が得られます。