アトピーを持っている親なら誰しもが考えること。
自分の子供だけはアトピーにさせたくない。
あの夜も眠れないほどのかゆみ、掻いてできた傷を見たときの空しさ、まるで自分を人間ではないと言わんばかりの周りの冷たい視線。親ならばそんな経験をさせたくないと考えるのが普通です。
もしもアトピーの遺伝を予防できるものならば是が非でもその方法を試したい。
しかしそんな方法はいくらネットで探しても満足できる内容のものは無いでしょう。そしてこの記事でも遺伝を完璧に予防する方法を教えることができません。
ただアトピーを極力発症させない方法はいくつか知っていますので今回はそれを以下に記していこうと思います。
もしも本気で自分の子供のことを考えているのであれば親であるあなたがその方法を知っておくことをおすすめします。
子供はアトピーを防ぐ方法を知る術がないのですから・・・
アトピーが遺伝する確率
まずは予備知識としてアトピーが遺伝する確率を見て行きましょう。
両親がアトピー=50~70%
片親がアトピー=25~30%
両親がアトピーでない=10~15%
必ずしもこの確率でアトピーが遺伝するというわけではありませんが統計上ではこのように結果がでています。
これを見る限り、両親がアトピーの場合は高い確率で遺伝するということが言えます。また両親がアトピーではなくともアトピーが発症してしまう可能性は少なからずあるということです。
アトピー発症の原因
アトピーの原因は明らかになっていません。しかし科学の技術も進みその原因も少しずつ明らかとなっています。
色々と調べて言えるのがアトピーに発症するのはTh1とTh2のバランスの欠如にあるということ。
本来であればこれらのバランスは均衡に保たれるはずがアトピー患者の場合はTh2が偏っているということが分かっています。
なぜTh2が優位になるとアトピーになるのかと言うのはここでは詳しく説明しませんがこれがアトピーの原因であるということは間違いありません。
ThとはヘルパーT細胞を表しますが色々な要因によってTh1だったりTh2と分岐し免疫の働きを切り替えています。乳幼児はもともとアトピー関係なしにTh2優勢で生まれてくるということが統計により分かっています。
健康な乳児であれば生きていく中でTh1が優勢に働き均衡になったところでそれが一定に保たれるのですがアトピー患者はTh2が優勢のままです。
それはなぜか?
Th2が優位のままである理由
本来生まれてから月日が経つにつれてThのバランスは保たれる物ですがアトピー患者はTh2が優位になった状態を維持している。
なぜそのようなことがおきるのかを以下に説明させていただきます。
- 遺伝によりTh2が優位な体質を受け継ぐ
- 腸内細菌のバランスが悪化
大きく分けて以上の2つが考えられます。ではそれぞれ詳しく説明しますね。
遺伝によりTh2が優位な体質を受け継ぐ
アトピー患者はTh2が優位な状態であるといったように子にもその体質は受け継がれます。
だから両親がアトピーの場合は子もアトピーになる可能性が高いのです。僕が思うにアトピーが遺伝するという表現ではなくその体質が遺伝するといった表現のほうが適切だと思います。
恐らくその体質はほぼ100%子に受け継がれると思ってもいいかもしれません。問題なのは生まれてからどのように生活を送るか?
何の対処もしなければTh2優位な状態が維持され当然アトピーは発症するでしょうし対策を施せば限りなく発症を抑えるものだとも思っています。
これは推測に過ぎませんがある統計では乳児に保湿剤を塗ることでアトピーの発症を32%抑えることができたということが分かっています。
まあ保湿剤でアトピーの発症を抑えるという方法はあまりオススメできるものではありませんが・・・というのも保湿剤はあくまで対処療法であり発症率を根本的に抑える方法ではないからです。
確かに32%も発症率を抑えられると聞いてすごいという印象を受けるかもしれませんがよくよく冷静に考えれば100%にはできないんだなという解釈もできます。
つまり保湿剤を塗ったからといって確実にアトピーを防げるものではないということです。どうせやるのなら発症率を根本的に抑えたいですよね。
その方法は後ほど。
腸内細菌のバランスの悪化
Th1、Th2のバランスを決定付けるもの。
それが腸内細菌です。
よく善玉菌だとか悪玉菌だとか聞きますがそれらも腸内細菌の一種です。どちらも生きていくには必要な菌ではありますが化学的には人に有益なものを善玉菌、有害なものを悪玉菌と位置づけています。
アトピー患者の腸内細菌のバランスを見ると悪玉菌の数が健康な人と比べて多い傾向にあるという事が分かっています。
悪玉菌が腸内で増殖すると毒素の影響を受けます。
そしてその毒素を中和させるためにTh2が活性化し(IGE)抗体を作り出しているのです。抗体が毒素やダニなどのアレルゲンと結びつくとそれを無害にするために化学物質を放出。
その化学物質のなかにはかゆみ成分となるヒスタミンも含まれています。
この一連によりアトピーの症状が出てくるというわけです。さてアトピーを治していくには腸内細菌のバランスを整えてあげることが有効となるわけですがこれがなかなか難しい。
とくに大人の場合は腸内細菌のバランスが定着した状態になるのでこれを変えようと思えばかなりの労力と時間を要することになるでしょう。
よく大人アトピーが治りにくいといわれるのは腸内細菌のバランスがなかなか変えられないから。
バランスを整える方法もありますが本題とそれる内容になってしまうのでまた改めて記事にします。ただし乳児の場合はまだ腸内細菌の定着には至っていません。
定着までには一年かかるといわれるのでそれまでに腸内細菌のバランスを整えることに勤めるとTh1、Th2のバランスも均衡状態にすることができます。
というわけで早速腸内細菌のバランスを整える方法をご紹介。
アトピーの遺伝を防ぐ腸内細菌のバランスの整え方
先に言っておきます。腸内細菌のバランスを整えるためには乳酸菌を摂ることが一番効果的だと言われています。
善玉菌である乳酸菌を摂取することで悪玉菌の増殖を抑えバランスが一定に保たれるからです。
遺伝を防ぐには妊娠期間中、母親が乳酸菌を摂ること。
あるいは生まれた後、乳児の腸内細菌のバランスを整えること。
この2つの対策をすることで乳児のアトピー発症を最大限に抑えることができます。
それぞれ詳しく説明します。
妊娠期間中の乳酸菌摂取
上記でもお話したように子は親の体質を引き継ぎます。
残念ながらもし母親がアトピーで自分自身を治すために乳酸菌を摂取してもあまり効果は見込めません。それは先にも言ったようにすでに腸内細菌のバランスが定着してしまっているから。
効果を見出すには長い月日が必要なのです。
ただしそれでも乳酸菌を摂取することで腸内環境はよくなりますから乳児もその影響を受けます。胎児が生まれる前は無菌状態です。
そこから膣内に生息する菌バランスの良し悪しでTh1、Th2のバランスが整えられるとも言われています。子宮内は無菌状態ですが膣内はというと菌がうじゃうじゃ。
出産前後は乳酸菌やビフィズス菌がほとんどを占めているのですがその菌環境を受けつぎ免疫を決定しているのではないかと考えられています。
その証拠に帝王切開した乳児はアレルギーになる確率が5倍になるという統計があります。それは無菌状態から乳酸菌やビフィズス菌に触れることなく外界にでるため適した菌状態を引き継げないからです。
帝王切開した後、徐々に腸内はビフィズス菌が増えていくことになるのですがそれでも正常分娩で生まれた子と比べれば腸内環境に天と地の差があるというのは容易に想像がつくことでしょう。
話がそれましたが出産はできれば正常分娩のほうが良いということ。
そして正常分娩をする場合、膣内の乳酸菌やビフィズス菌を増やすために乳酸菌を摂ることで適切な菌状態を引き継がせることができるのです。
生まれた乳児の腸内細菌のバランスを整える方法
母親が乳酸菌を摂ることで適切な菌状態を引き継がせることができるということは上記でお話したとおりです。
そして次にする対策が生まれてからの対策です。
いくら妊娠時に乳酸菌を摂っていたと言ってもその後のケアをしっかりしなければ意味がありません。そしてそのケアと言うのが、やはり乳酸菌が関係してきます。
生後間もない乳児は腸内の細菌のほとんどがビフィズス菌です。
それが月日の経過により日和見菌、悪玉菌が増殖しやがて腸内細菌のバランスが一定となります。しかしアトピーの体質を受け継いだ乳児はこの腸内細菌のバランスが悪い方向へと向かっていく傾向にあります。
それを防ぐために乳酸菌といいたいところですが生後間もない乳児はすでにビフィズス菌がほとんどを占めているのであまり意味は無いと思っています。
大切なのはバランスが悪い方向へと向かわないようにすること。
これが一番の対策になるのではないでしょうか?考えられる方法は以下の通り。
- 乳児には母乳を
- 善玉菌の餌となるオリゴ糖摂取
- 悪玉菌を増やさない
ではそれぞれ説明します。
乳児には母乳を
乳児に母乳を与えるのと人工ミルクを与えるのでは免疫力に差が出ると言います。それは母乳に含まれる成分が関係しています。
主に母乳に含まれる成分で免疫に関係するものが、乳酸菌、ラクトフェリン、IgA抗体と言ったところでしょうか。
母親の母乳に含まれる乳酸菌は乳児の腸内細菌のバランスを整えるのに非常に重要です。ラクトフェリンは悪玉菌産生を抑え、IgA抗体は腸粘膜の生成に欠かせない成分です。
まあどれも腸内細菌のバランスをよくする物質だという認識でかまいません。
反対に人工ミルク。これは確かに栄養素は豊富ですがそれに加えていらないものが多すぎます。人工的に作ったものは腸内細菌のバランスに悪影響を及ぼします。
だからできるだけ赤ちゃんには母乳を与えてほしいものです。
善玉菌の餌となるオリゴ糖摂取
オリゴ糖は善玉菌の餌となり善玉菌が活性化します。
反対に悪玉菌はオリゴ糖を餌にしませんので腸内バランスの是正が見込めるということです。最近では腸内バランスを整えるにはオリゴ糖が有効だという話をよく聞きます。
それは善玉菌が活性化するからなんですね。
砂糖という化学物質の塊を離乳食に加えるくらいならオリゴ糖を入れたいものです。砂糖は悪玉菌の餌となり腸内環境を悪化させる代名詞と言ってもいいほど。
この機会にオリゴ糖、もしくは甜菜糖に切り替えることをオススメします。
ちなみに僕はこれを使っています↓
悪玉菌を増やさない
さてここまで善玉菌を増やすことで腸内細菌のバランスをよくしようねというお話でしたがもう一つ大切なことがあります。
それは悪玉菌を増やさないことです。
いくら善玉菌を増やす努力をしても悪玉菌を増やす行為をしてはせっかくの努力も無駄なものになってしまいます。
あれだよあれ。
ダイエットのために3時間、運動した後、自分よく頑張ったーって言ってチョコレート食べるあれと同じです。ただ悪玉菌を増やさないようにすると言ってもピンとこないでしょうからまずは悪玉菌が増える要因を以下に書いていきます。
対処は簡単、これらを意識的に取り入れないようにするだけです。
- 人工食を摂る
- 砂糖が入ったジュース、お菓子を摂る
- 抗生物質の服用
他にも環境要因がありますが乳児の場合は経口での影響が強いので以上の3つがそれに当てはまります。
人工食は砂糖などの化学物質が含まれており腸内環境を悪化させます。砂糖が入ったジュースやお菓子は悪玉菌の餌となり活性化。
抗生物質の服用は善玉菌、悪玉菌が減少、カンジダ菌などカビの一種は殺せないので結果的に腸内細菌のバランスが崩れます。
当然、これらを繰り返せばいくら善玉菌が増えようが悪玉菌の数も増え、バランスの是正ができるはずがありません。なので善玉菌を増やす行動、悪玉菌を増やさない行動、そのとちらも取り入れるべきなのです。
自分はどの乳酸菌を摂ればいいんだ!
以上が遺伝を防ぐ方法となります。
乳児のアトピー発症を防ぐには妊娠期間中の乳酸菌摂取。生まれてからは乳児の腸内細菌のバランス是正。
他にもあるでしょうがこれが根本的な対策になります。
さて乳児が摂取するものとして母乳が大切だとお伝えしたのですが乳酸菌を摂ることで母乳の質をよくすることができます。
では肝心の乳酸菌は何を摂ればいいのか?
ご存知でしょうが乳酸菌と言ってもその種類は多く一体どの乳酸菌を摂ればいいのか分からないという方もいらっしゃるはず。
そんな方は是非こちらの記事を参考にしていただければと思います↓
ケースバイケースで自身の目的によって適した乳酸菌を摂ることができるようになるでしょう。というわけでまだまだアトピー発症に関しては謎が多い部分がありますが少しでも希望を持って悩みを解決することが大切です。
最初から諦めては治るものも治らないし防げるものも防げませんからね。
では今日はここまでヾ(・・ )