これまでたくさんの記事を書いてきたわけですが今更ながらアトピーが免疫異常であることを改めて書いていこうと思います。
なぜ今までアトピーの原因が免疫異常であることを書かなかったのかと言うとその仕組みを説明する文章力が僕には備わっていなかったから(今もですが)。
また仕組みを説明したところで内容が難しいため結局は何をすればいいのか読者を悩ます懸念があったから。この2つの懸念材料から僕は記事を書けなかったのです。
だから僕は自身の経験則でただ単に免疫力を上げればアトピー治るんだということを伝えてきました。
しかしその根拠が分からない限りは読者は免疫力を上げることの重要性を理解することができず結局は僕が思い描いていたことの逆のことをさせてしまったように思います。
やはり人はイメージができないと行動をおこさない。
なんで今までこんな当たり前のことに気づかなかったのかと僕は猛烈に反省しているところです。これを踏まえ、今後、免疫力を上げることの重要性を理解してもらうためにアトピーの原因は免疫異常であるというその根拠を以下に書いていくことにします。
アレルゲンがなければアトピーは発症しない
アトピーが免疫異常だと結論付ける前にアレルゲンの存在を知っておかなければなりません。アレルゲンとはアレルギー反応を引き起こす原因物質のことを言います。
例えばダニやほこり、黄色ブドウ球菌などの細菌、花粉、紫外線などがそれにあたります。
通常、これらの物質が体内に侵入したとしてもアレルギー反応(炎症)を過度に示しません。それはアレルゲンが侵入してもそれが生命に及ぼす危険度が少ないと免疫システムが判断するからです。
ただしアトピー患者のようにアレルゲンに対し過剰反応を示す場合があります。
それはアトピー患者の免疫システムがアレルゲンを生命の危機につながると判断してしまうから。
だからそれが体内に侵入すると必要以上に炎症作用を引き起こし体外へと排出させようとする働きを見せます。仮にアレルゲンが存在しなければアトピーは発症しません。
まあアレルゲンのない世界=たんぱく質が存在しない世界ということになりますのでそんな正解があるならば僕たちはこの世に生まれてくることすら不可能でしょう。
アレルゲンの特性に合わせて免疫反応は変わる
実はアレルゲンの特性により免疫反応と言うものは変わります。
ウイルスや細胞間内で増殖する細菌により自身の細胞内が感染状態になると細胞性免疫が。細菌や重金属による毒素がアレルゲンの場合は体液性免疫が働きます。
このように体内に侵入したアレルゲンの特性により免疫反応が特性に合わせて変化します。
健常者の場合はこの2つの免疫機能が正常に働き様々な異物から身を守ります。しかしアトピー患者の場合は何らかの環境要因により免疫異常を起こし体液性免疫が働きがちに。体液性の免疫が過剰になるとアレルゲンに対し強い反応を示します。
この強い反応がアトピーの症状となって現れるわけです。
また細胞性免疫はTh1細胞が優位な状態で働き体液性免疫はTh2細胞が優位な状態で働くことが知られています。
上のThとはリンパ球の一種であるヘルパーT細胞のこと。ヘルパーT細胞とはいわゆる司令塔と呼ばれるもので免疫機能に大きく関わります。
ヘルパーT細胞は体内に侵入したときに異物の情報を読み取り先ほど挙げていた細胞性免疫(Th1)、体液性免疫(Th2)のどちらを優位にさせるか判断します。
Th1/Th2のバランスを整えることでアトピーは治る
さて上記のお話でアトピーはヘルパーT細胞がTh2に偏ることで現れるということが分かりました。
本来であればこのTh1、Th2は互いに抑制しあい、バランスを保とうとするのが普通です。ただ何らかの環境要因が起因してThが偏ることが知られています。
以下はその環境要因が何なのかを示したものです。
Th2が優位になる要因
以下の図はTh1、Th2の分化の過程を表したもの。
引用:http://hobab.fc2web.com/sub4-Th1_Th2.htm
IL(インターロイキン)、IFN(インターフェノン)、TNF(腫瘍壊死因子)はいずれも情報伝達に関わるタンパク質でこれらを総称してサイトカインと呼びます。
体内に侵入した異物に対しこれらのサイトカインが放出、牽制しあうことでTh1、Th2の分化を決定付けています。
これらの種類は実にたくさんありこれを覚えてもあまり意味は無いのでサイトカインがTh1、Th2の分化を決めているということだけ覚えておくと良いでしょう。
そして僕たちアトピー患者はTh2が優位な状態です。
この分化に関わる要因を知っておくことでその対処も明らかとなります。
未消化タンパク質
僕たちが食べ物を口にした場合、大抵の食べ物は消化され栄養となります。
しかし消化が不完全になるとTh2を優位にする未消化タンパク質となってしまいます。アトピー患者は腸内環境が悪く腸の粘膜が正常に働いていない可能性が非常に高い。
そうなるとこれらの未消化たんぱく質が腸壁をすり抜け全身を駆け巡ることになります。結果、未消化タンパク質を除去しようとする働きが強くなりTh2が優位になると考えられています。これを防ぐにはやはり食事の面で気をつける必要があります。
上の記事は食事の大切さを伝えた記事になりますので良かったら参考にしていただければと思います。
植物油
リノール酸を含む植物油は体内で代謝されアラキドン酸という物質に変化します。
このアラキドン酸はPGE2というサイトカインを放出する主因とも言える物質です。甘いお菓子やポテトチップス、ジャンクフードに大量に含まれています。
今、考えるとアトピー患者が急激に増えたのは欧米食を取り入れた頃から。この背景からリノール酸はアトピーの原因、悪化に大きく関わっているといえます。
最近注目を集めているエゴマ油などのオメガ3脂肪酸はth2の分化に関わるサイトカインを抑制しTh1の応答を促すということでアトピーの症状を軽減させる可能性を秘めています。
と、このようにTh2を優位にする要因がありそれらの対処をすることでアトピーは改善されます。
その上でTh1を優位にする行動を起こすことでTh1、Th2のバランスは是正されます。バランスが拮抗状態になれば異物の特性を正確に判断し的確に対処することができます。
そうなれば異物に対し過剰反応を起こすことが無くなりアトピーのような症状が現れなくなるのです。上記で挙げたTh2が優位になる要因はほんの一例。
このほかにもストレスや、活性酸素などさまざまな要因が存在します。
しかし上の2つを見てほしい。
ついつい僕たちは皮膚の表面ばかりを気にしてそれらの対処に注力しがちです。ただ上記のようにアレルゲンは外面ばかりから侵入するとは限りません。
それどころか体内に取り入れたたんぱく質が腸壁を貫通してアレルゲンになる量のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。
僕たちが生きていくうえで食べ物の摂取と言うのは必要不可欠です。しかし消化能力が弱く未消化のタンパク質ができると腸壁を貫通してそれがアレルゲンとなります。
つまり腸内環境をよくしなければ永遠とアレルゲンを作り出すと言うことになるのです。
このことから体内にアレルゲンになりうるものが増えること自体がTh2を優位にしているのではないかと僕は仮定しています。
またTh2の分化に深く関わるPGE2は炎症に深く関わっています。
これらを踏まえてアトピーを治していく方法は以下の3つ
- Th1、Th2のバランスの是正
- Th2が優位な状態で起こる炎症の鎮火
- アレルゲンの侵入予防
これはアトピーを治していくためには全て必要不可欠なもの。
アトピーが治らない方の多くはこれら3つのうちのどれかがかけてしまっているのだと思います。またこれらの方法の優先順位を誤り、時間を無駄に消費してしまっているがために治らないと判断して諦めているかのどちらか。
しかし諦めては治るものも治りません。以上の3つに関しては段階的に知識を身につけると良いでしょう。
僕の中で優先順位をつけるとしたら
炎症の鎮火→アレルゲンの侵入予防→免疫の是正
このような順序となります。
もちろんこれは僕の経験則からの順番ですのでこれが万人に通用するわけではありません。
なので自分であれこれと試しながらその優先順位の決定をしていただければと思います。以下は3つの対処法をより深彫りした記事群となっています。
いわゆる本の目次にあたるものなので一度目を通されてみてはいかがでしょうか?自分が今何をすべきかが分かるかもしれません。
では今日はここまでヾ(・・ )