アトピーを治していく上でかゆみのメカニズムを知るということはとても大切です。このメカニズムさえ知っておけばかゆみの対処ができるからです。


そもそもアトピーというものは免疫異常から引き起こされる病気。
根本的に治すにはこの免疫を正常にする必要があるわけですが、それをしようと思えばかなりの労力と時間がかかります。
そこでまずはアトピーの改善を計ることが善良の策となるでしょう。そしてその善良の策と言うのがかゆみをなくすことにつながるわけです。
かゆみのメカニズム
かゆみを引き起こす原因物質(アレルゲン)はもはやアトピー患者にとって無数にあるといってもいいですね。しかもそれらは人それぞれであり対処が非常に難しいといえます。
ダニ、ほこり、かび、黄色ブドウ球菌、紫外線・・・
これら全てをシャットアウトできればかゆみをなくすことができますがこれら一つ一つの対処をするには相当の労力を使います。
またこれまでアレルギー反応を起こさなかったものが急にアレルゲンとなることもあります。つまり対処をするにしても効率的ではないということです。
そもそもダニやほこりなどのアレルゲンはかゆみの原因物質ではありますがかゆみの原因ではありません。多くの方は原因物質に目を向けるあまりかゆみの原因の特定をしようとしません。
木を見て森を見ずとはこのことです。
これではアトピーの完治どころか改善すらできないのはもはや当たり前のこと。本質が見えなければ何の解決にもならないのです。
かゆみの原因は炎症にあり
では一体かゆみの原因は何なのか?それは見出しに答えがあるようにかゆみの原因は炎症にあります。
炎症と言ってもすこしイメージしづらいと思うので少し炎症のメカニズムを説明します。
はじめに言っておきますがかゆみが出る時点でもうすでに肌の内側は炎症を引き起こしています。
よくかゆみがでてそれを掻くなどすると炎症を引き起こすと考える方もいますがそうではありません。炎症が起きているからかゆみが出て掻くといった行為に及ぶのです。
そしてこの炎症こそがかゆみの原因となっています。
ちなみに掻くという行為自体が炎症を引き起こすトリガーとなっています。
順番を間違えるとその対処も間違った方向になってしまうのでこれを機に覚えていただければ幸いです。さて前置きはこのくらいにしておいて本題に入ります。
言葉で説明してもイメージしづらいと思うのであるサイトの図を借りて説明させていただきます。
http://www.minophagen.co.jp/Japanese/medical/kayumi/index2_1.html
以上の図がかゆみを引き起こすメカニズムを図式に表したものです。
これを見るとかゆみの種類は末梢性によるものと中枢性によるものがあることが分かります。
一般的にアトピーに関わりのあるかゆみと言うのは前者の末梢性によるかゆみが原因であると考えられています。実際に医学会でも末梢性によるかゆみに念頭を置いて薬の開発に勤しんでいますからね。
末梢性のかゆみのメカニズムは以下の通り。
異物が皮膚内に侵入するとそれを敵だと判断したB細胞がIGEという抗体を作ります。そしてその抗体が肥満細胞(マスト細胞)にくっつきます。
この肥満細胞とIGEがくっついて初めて異物を攻撃する兵器になります。肥満細胞には多くの化学物質を放出する働きがありそのトリガーにIGE抗体が必要となるわけです。
そしてそれが異物を感知したときにその異物を排除しようと肥満細胞が爆発。それと同時にヒスタミンが放出されかゆみを認知するC線維を刺激。
脳が実際にかゆみという認識もつことでかゆみが生まれるというわけです。
炎症が起きてかゆみが生じるということですね。このことから炎症は抗体と異物との闘いで生まれるものであると考えられます。
かゆみのメカニズムは言葉だけの説明では分かりづらいと思うので動画も良ければご覧ください↓
炎症を悪化させる一番の原因は自傷行為にある
え?だったらやっぱりアレルゲンの侵入を防ぐことが大切なのではないかと思うかもしれません。
確かに炎症を防ぐにはアレルゲンの侵入を許さないようにすれば問題は解決されます。しかしこれは炎症を防ぐ解決策であり炎症を抑える解決策ではありません。
アトピー患者はすでに炎症が起きている状態です。
そんな中でいくら炎症を防ぐ行動をしても火は燃え続けますから大した効果は得られません。まずは炎症を鎮火させること。これが最優先にするべきことなのです。
いくら原因物質から遠ざかろうとしても完全には防ぎきれません。
掃除をしてもダニをすべて取り除けるわけではないし保湿剤の成分がアレルゲンとなることもあるからです。そしてわずかな刺激が炎症の原因となりかゆみを引き起こします。
かゆみを感じると掻くという行為に及びます。この掻くという行為が実は最も炎症を悪化させる行為でもあります。
イメージで言うと火に油を注ぐようなもの。
だからまずは炎症を鎮火させ掻くという行為を極力減らすことが重要となるわけです。
なぜ掻くという行為が炎症に大きく関わるのかは何となく想像できるはず。爪で皮膚を削っているのです。悪化するのは当然のことでしょう。
炎症の原因は不飽和脂肪酸にもある
以上のことをまとめると炎症は肥満細胞とIGE抗体が結びついたものがアレルゲンに反応することで引き起こされるものであるという事がお分かりいただけたと思います。
しかし、炎症がおきる原因はそれ以外にもあります。それが不飽和脂肪酸を介してできるアラキドン酸による炎症です。
正確に言えばアラキドン酸が代謝され最終的にできる悪性エイコサノイドといわれる物質が炎症の元となります。またアラキドン酸の前駆物質はリノール酸となります。
リノール酸といえばサンフラワー油、ごま油に多く含まれているものです。
ここで何となくお気づきかもしれませんが以上のことをまとめると炎症を引き起こしているのはリノール酸を含む油が大きく影響しているということがいえます。
昔と比べて現代の生活は欧米食、甘いお菓子などを多く取り入れるようになりました。そしてそれらには大量のリノール酸の入った油が使われえいます。
今思えばアトピー患者が一気に増えたのは欧米食を取り入れた頃からなんですよね。ここまで言えば何をしなければいけないのか分かりますよね。
そう、できるだけ欧米食は避けリノール酸の含まれる油を摂らないことを心掛けることで炎症は抑えられ、アトピーが改善される可能性は大きく上がります。
ただしリノール酸も人体にとっては必要なもの。必須脂肪酸と呼ばれるだけにこれが無くては人は生きていけません。ただリノール酸の摂取が多すぎるとアトピーが悪化するように悪い方向へと働いてしまうのです。


話が変わりますが不飽和脂肪酸がアラキドン酸などに代謝する前に活性酸素と言うものと結びつき過酸化脂質になることもあります。
体内に活性酸素が多ければ多くなるほどに。活性酸素といえば老化やしみになる原因とも言われています。
それと脂肪酸が結びついた不飽和脂肪酸は過酸化脂質になり細胞間に長くとどまり作用します。その作用と言うのが細胞の破壊です。
活性酸素ほど毒性はありませんが過酸化脂質はゆっくりと長くとどまり確実に細胞を破壊させているのです。そもそも活性酸素は人体で当たり前のように生成されるもの。
それは先ほど挙げたエイコサノイド同様に人が生きていくうえでなくてはならないものだからです。
本来であれば活性酸素が体内で多く合成されたとしても体内機能であるSOD機能で活性酸素を無害にすることができますが現代の劣悪な環境変化によりSOD機能では賄えないほどの活性酸素が生まれるようになりました。
アトピー患者の特徴として活性酸素を無害化するSOD機能が弱いということもありその影響を人一倍受けやすくなっています。
そうなれば過酸化脂質がどんどんたまり細胞を破壊します。
細胞が破壊されるということは肌の機能が失われるということになりますのでアトピーがさらに悪化してしまうという最悪の結果となってしまいます。
僕たちができることはリノール酸が含まれる油を控え、環境を整えるしか方法はありません。
炎症を抑えるにはステロイドが一番だけれども・・・
このように炎症と言うものはアレルゲンでおきる炎症、体内機能による炎症と2種類の炎症から成り立っています。
これらの炎症を抑えるにはやはり免疫機能を抑制するステロイドが一番の効果を発揮してくれます。免疫を抑制することができれば抗体と異物との戦いは起こらなくなりますので炎症を抑えることができます。
異物がダニやほこり、かびや細菌でも関係なし。
例え新たにアレルゲンが侵入したとしても免疫はそれを敵だと判断しなくなります。炎症を抑えることができれば後は原因物質の対策です。
皆さんご存知の通り部屋の掃除や保湿剤をぬるなどの対処が有効となります。ただしこの過程をたどったとしてもアトピーのかゆみを根本的に解決した訳ではありません。残念ながらステロイドで炎症を抑える効果には限界があるからです。
それはステロイド自体が化学物質でありそれが体内で蓄積されると炎症の原因物質となるからです。
まさか炎症を抑える道具が炎症の原因を作り出しているなんてびっくりですよね。短期間の使用であれば体外に排出することができますが多くのアトピー患者はステロイドをだらだらと使っているはず。
ステロイドの使用を控えるとたまっていた化学物質を一気に排出しようとするので前よりも症状が悪化することになりかねません。
ただしステロイドを塗り続ける限りはいつまで経っても治らないアトピーに悩まされながら辛い生活をすることになります。
皮膚科医はこの事実を知っていながらステロイドを処方し続けます。それがどういう意味を指しているのか分かりますか?
そう、医者は炎症を抑える方法としてステロイドを処方する以外の方法を知らないのです。
だから仕方なしにこの事実を黙秘しながらステロイドを処方するのです。仮にステロイド以外の治療を試すにしても患者のアトピーを悪化させてしまうと問題になります。
だからこのようなリスクを負うのであればステロイドを処方して症状を悪化させないようにすることが簡単で適切だと自分の頭に言い聞かせているんですね。
結局は自分の生活が一番だということです。
悪循環を断ち切る方法
恐らく多くの方が以上のような状況に陥っているはずです。
この悪循環から抜け出すには新たな一歩を踏み出さなければなりません。そこで僕が試した方法と言うのが脱ステです。
簡単に言うとステロイドを断ち切って体の中に蓄積した毒素を全て出し切るという方法です。それに加え炎症の発生を根本的に防ぐために免疫力の向上を計りました。
結果としては大成功。
健常者と比べてもアトピーだとは分からないまでに改善させることができました。ただしこの方法を僕は絶対にオススメしません。
というか絶対にやってはいけません。
なぜなら脱ステをすると地獄を見なければいけないから。僕の脱ステ期間は2年。正直2年もの間、生きている感覚がしませんでした。
今となってはよくあんな荒治療を試すことができたなと過去の自分が信じられません。
確かに脱ステで得られるものは大きいですがそれ以上に失うものが大きいというのも事実です。しかし現状を打破するためにはいずれはステロイドから離れなくてはいけないというのも事実です。
そこで僕はステロイドを使用しながらもそれを減らしていくという方法をオススメします。炎症をおさえ、尚且つステロイドを減らしていく。
もちろんただ薬の量を減らすだけでは効果が弱まり逆に悪化する恐れがありますので、それだけはいけません。量を減らすとともに生活習慣の改善、ステロイドの代わりになるアイテムを利用することで徐々に改善させることができます。
そういった対処法に関しましては長くなってしまうのでここでは割愛。詳しくは過去記事があるのでそれらを参考にしていただければと思います。
まとめ
僕は一度脱ステで健康的な肌を取り戻すことに成功しています。
ただそれでも環境が変わったことで次第にアトピーの症状が出てくるようになりました。詰めが甘かったんですよね。
本当はもう少し免疫力の向上を図る努力をしなければならなかったのですが悔しいことに生活をしていくだけのお金が足りませんでした。(仕事辞めてアトピー治すために脱ステを実行したので。)
アトピーが再発してしまった今でも決してそれが無駄なことだとは思っていません。現にその経験があったから根本的なことをしることができましたので。
これからは地道に根本的解決となる免疫力の向上に努めるだけ。
それに加え、サプリや化粧品を試すことで治療の負担を減らし改善速度もアップさせることができます。まあこれは逆でも良いです。目に見えた改善のほうがやる気を維持できますので。
まずは効果のあることを実践しそれから根本的解決となる方法を実践する。それがアトピーを無理なく治す最善策になるのかもしれませんね。
では今日はここまでヾ(・・ )